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水道水でもおれにとっては特別だった(後編)

どっか行った

阿知賀編が好きすぎて我慢できなかったから聖地巡礼してモデルになった旅館の風呂入らせてもらった

水道水でもおれにとっては特別だった(前編) - ダンスインザ養分

前編からつづく。
 
 いよいよ、今回の旅の目玉である大浴場へ通される。ここにおれたちが片道5時間、2万円をかけても入りたかった風呂がある…………
 
「ちょっと温度確認しますので、お待ち下さい」
 
時刻は午後3時。宿泊客でもないのに一番風呂のようだ。普通に申し訳ない。
 
「大丈夫ですよ、ごゆっくりお寛ぎ下さい」
 
しばらく待って出たOKサイン。ゴクリ。はやる気持ちを抑え、ゆっくりとゆっくりと大浴場の引き戸を開ける。
 
脱衣所へようこそ! (脱衣所の写真)
 
……と言いたいところだが、撮ったすべての写真が鏡におれらが映っていて到底ウピーすることができない。アニメで大浴場および露天風呂は出てきていないのだが、20も半ばにしてめちゃくちゃはしゃいでしまったのである。おたく2人が全裸で一眼レフを持って走り回ることは今後ないであろう。分かると思うけど、我々はホモではない。おれは巨乳の女か声優の女が好きだ。
 

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大浴場へようこそ!!

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露天風呂へようこそ!!!
 
 風呂はいい。風呂は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みである。風呂に入っているときだけは転職結婚今後の人生。いろいろどうでもよくなる。それが桜舞い花びら浮かぶ山奥の露天風呂なら格別だと思いませんか。
 
  不祥事の原因となった温泉だとか水道水だとかはまあ置いといて、真昼間から露天風呂につかり、春風に舞う小さな桜吹雪を見ながら升で飲む吉野の地酒(この写真の右側に樽が置いてあって自由に飲める)。毎日毎日来る日も来る日も都会で仕事に追われるなかで、この48時間、そういう人生から見たら須臾の自由に流れるこの時間。露天風呂。桜。酒。咲とか温泉とか抜きにしても、控えめに言って最高でしょって感じ。たぶん1時間近く堪能して、このまま泊まりてえって500回ぐらい言ったんじゃないかなあ。
 
  控えめに言って最高だったので、フロントで控えめに言って最高でしたと伝えたところ、「咲-Saki-のファンということで、わざわざ関東から来ていただいたのでお代はいりません」と仰るわけですよ。いやいや、それは申し訳なさすぎますでしょう、いくらでも払いますと伝えたのですが。そもそも日帰り入浴自体、昔はやっていたけれどいまはやっておらず、今回は特別に許可していただいた、とのことでした。なのでお代は受け取れない、と。

   こちらがインターネットの古い情報を鵜呑みにし、奇しくも渦中の風呂に入らせろと厚かましい、場合によっては冷やかしにすら取られかねないお願いをしたにもかかわらず、嫌な顔ひとつせず快く許可していただけたことは本当に感謝してもしきれません。
 

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   相変わらず桜の季節の吉野はアホみたいに混んでいて、作中に何度も出てくるケーブルカーにも乗れない始末だし、雨続きで当日も曇っておりコンディションははっきり言って悪かった。駅前でニワカは相手にならんよ! とキャッキャしたかったのだが、人が多すぎてできなかった。あとは憧ちゃんちの神社で紙幣入れるか硬貨入れるか迷った挙句、5円入れて帰った。
 
「また遊びに来て、今度は泊まっていってくださいね。お代はその時で結構ですよ。」
 
  最後に対応してくれた若女将と思しき方の言葉。考えてみれば客として出迎えてくれたけど、おれらは金も払ってないし、客でもなんでもなかった。ありがたいですよね。都会人が忘れている人の温かさじゃないですか。これって。実際これで吉野は終わりにするつもりだったけれど、また行く理由ができたな、と思ったのでした……
 
  これまでいろいろ、おれ自身は北は北海道から南は沖縄までまあ、いろんなところへ行ったけれど、1人で回ることも多かったし、そのだいたいが地方で競馬見て当たったハズれたの自己完結で終わる旅行だったので、こういうことがあって、たいへん思い出に残る旅行となったし、大げさに言えば一生忘れないのではないのでしょうか。まあ誰に伝えるわけでもないんだけど、よかった。本当にありがとうございました。んじゃあまた吉野でお会いしましょう。
 

 追記

 まじめな話、松実旅館のモデル旅館、実は行く直前にポンプが壊れて一時期水道水沸かしてました、老舗旅館が温泉偽装!! って全国ニュースになって、めちゃめちゃ批判食らってたんですよねー。
 
   まあ、おれらも「5時間掛けて水道水沸かしただけの風呂行くんか」って侃侃諤諤したのは事実だし。旅館周辺も批判ビラとか立て看板とかも立っていて、観光地とは思えない感じで怖かったですね。調べてみると温泉だの水道水だのの単純な問題だけでないようだし、部外者のおれがそれをいいとか悪いとか語るのはお門違いかと思います。のだ。
 
 ただ、そういう大変な中ですね、客でもないのにいたく歓迎していただいて、温かい対応をしていただいた。じゃあそういう恩をね、今度はちゃんとした客として伺わせてもらって、恩を必ず返させていただきます、ってわけで、あれは水道水でも特別な水道水だったナア~~~~と思いました。また吉野でお会いしましょう。
 
(一応ですけど、各写真は従業員の方に許可をいただいて撮影・公開しています)