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競馬好きなやつってだいたい変だと思う

競馬
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   おれはなにより中央競馬がいちばん好きだと思う。三度の飯とか、酒とか、女とか、アニメとか、声優よりもたぶん。

    この度はじめて競馬友だちができた。というか、転勤してきた同僚が競馬好きであることが発覚し、ついでにもう一人あぶり出されてわれわれの距離が急速に縮まったのであった。

    その晩、たしか木曜だったと思うが、そんなことは関係なく、われわれは仕事をほっぽり出して飲みに行き、仕事の話ももちろん多少はしたけれど、ほとんど競馬の話ばかりしていた。それから二次会三次会と流れ、しつこい客引きに「女より馬が大事なんだ!!!!」と憤ったときには日付が変わっていた。

    二日酔いと潰れた喉で金曜日をやり過ごし土曜日がやってくると、一昨日池袋の路上でブチ切れていた顔触れが難しい顔をして東京競馬場のゴール前にいた。今日は前が止まらんよ、と1人が笑いながら言った。

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   傾く西日が芝生を金色に照らす。1番人気の馬が鼻の差で負けていることがリプレイで表示されると、競馬場をため息が包んだ。こちらとて例外ではない。騎手に悪態をつきながら新聞とハズレ馬券をゴミ箱へ投げ込み、背中を丸めて府中本町へと歩き出す。

「行きますか」

   競馬場から府中本町までのオケラ街道で、誰からともなく誘いが来る。行き先はオケラ街道下のうらぶれた、昭和の雰囲気漂う飲み屋だ。ここでだいたいビールと煮込みで鬱憤を晴らす。今日の反省、翌日のG1レースのこと、思い出の馬、地方への遠征……気づけば辺りは暗くなり、飲み始めたときにはあんなにいた他の客は疎らになっていた。5月の夜はまだまだ寒い。

   府中本町で南武線の1人と別れ、西国分寺で中央線のもう1人と別れて1人になってから思う。やっぱり競馬好きはどこかおかしい。ヘンだ。つい一昨日も6時間近く競馬の話をして、きょうも6時間競馬をやって金がなくなったのに、さらに競馬の話を続ける。いや、おれにとっても苦ではない。楽しい。楽しいんだけど。いつも営業トークなんて天気の話をしたあとは言葉に詰まることなんかもしょっちゅうなのに、競馬のことならまだまだ語れると思う。

    たぶん同年代のヤツらって、もっと仕事とか将来どうなりたいとか、結婚とか自己啓発とか、そういう建設的なことを話してるんじゃないだろうか。おれらはいっっっっさいなかった。全員馬に狂っていると思う。まだアニメキャラとか、声優と付き合いてえとかオタクと飲んでいるほうがいくらか正常だと思う。たまに一緒に競馬場へ行く上司だって、競馬場で見せる顔は自分の子供の話とかするときに見せる顔なんじゃないだろうか。やはり競馬好きはどこかおかしいんだよな。

   おれも含めて、そういうヤツらは他にギャンブルをやらないし、競馬に関しても儲かった損した以上に拘ることがあったりする。競馬はスポーツとか抜かしたりする。ギャンブルだよ。

    おれももちろんヘンな人間であって、おれの世界は競馬で回ってる。だからおれはもうこの会社を辞めようと思っていたのだが、こういうことがあって、少なくともまた来ようと約束した秋の東京開催までは続けてみよう、と思ったのだった。果たしてこれで人生は変わるか。

ねむいのでまたね。