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風の隙間から、自転車の後ろで

感想文

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きょうは数年ぶりの有給。いや、ウチは夏季休暇が有給扱いだから、厳密に言えば違うのだが。

平日の街は平日とは思えないほどの賑わいを見せ、多忙で受け取れなかった配当金を受け取るだけで相当な時間が掛かってしまった。

先週の日曜日。おれの本命馬が出遅れてしまい、金が一瞬にしてなくなったころに実家からメールが届いた。

「実はいまパパが入院していて、今度手術をすることになりました。」

おれが初めて知る内容ばかりのメールだった。

慌てて実家に電話をしたが、顛末を話す母親はおれが考えていたより気軽に、症状は重くないから大丈夫だと言った。最後に、見舞いはいらないし仕事を優先しろ、とも。じゃあメールするなよ、という話だが、おそらく仕事人間だった父親もそういうだろうな、と思った。

それでも、おれは有給を申請した。1ヶ月もしないうちに退院できると聞いていてもやはり心配だし、なんといってもこれで有給を取れなければこの会社にいても仕方がない。とりあえず今後のために休みを取得できるラインを引いておきたかった。当たり前だが申請は降りて、おれは会社と反対側の電車に乗った。

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さて。電車とバスを乗り継いではるばる来たはいいものの、久しぶりの病院は気が滅入った。患者、見舞客、職員。そして独特の匂い。加えて手術明けの弱々しい父親を見るのもなんだかイヤだったし、だいたい来るなって言われてるし、そもそもなに話すんだよって話である。病棟の入口でおれは逡巡し、最近の巨人の成績なんかを調べる始末であった。

結論から言うと、父親は思っていたより元気で、怒ることもしなかった。明日には点滴も取れ、月明けには退院できると言っていた。酒がもう飲めないと愚痴っていたが、うちの家系はこの病気と縁があるからお前も気をつけろと言った。おれはもう太ってきたし、酒は2度と飲まんと言った。それから母親が来て、3人で多くの話をした。おそらく相当に久しぶりのことだ。おれに結婚はまだ早いと言う一方で、未婚の姉に誰か紹介してくれと言っていた。

深く考えたことはなかったが、そういえば晩婚だった両親は四捨五入するともう70になるのだ。日々、おれはもうアラサーだし若くないよな、と思っていたが、同様にそれは親もそうであった。おれが歳を取れば当然に親も歳を取る。

病室のテレビでは父と歳もそう変わらない政治家が亡くなったというニュースが流れていた。ああ。そうか。人はいつか死ぬんだよな。いつか、石に布団は掛けられないと後悔する日が来るんだよな。いつか。