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今週のレース:凱旋門賞

競馬

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馬が走る。日本時間10月2日23時05分。遥か遠い海の向こうで日本の馬が走る。

フランスのG1・凱旋門賞。フランスのロンシャン競馬場、まあ今年は改修工事のため別の競馬場での開催になるが、欧州競馬の中でも格式高いG1。1着賞金は日本円だと3億数千万にものぼる競馬の国際的な大レースである。

どういうわけか、日本競馬界はこの凱旋門賞に異常なこだわりを見せる。まだまだ日本が競馬発展途上国だったときに、凱旋門賞は欧州競馬の代名詞といった紹介がなされていたことからもそれは伺える。もちろん他にも大レースはあるのだが……日本馬がドバイを、香港を制しても、やはり凱旋門賞を勝たなければ気が済まないらしい。

日本馬の初挑戦は1969年。スピードシンボリが出走し、10着以下に終わったとのことである。それから半世紀以上が経過するが、残念ながら黎明期から日本競馬界が夢見た欧州競馬の代名詞の制覇は未だ夢のままだ。2着を4度も重ねながら、日本競馬界は自分たちの馬が先頭でゴールする瞬間をずっとずっと待っている。


【高画質】2012 凱旋門賞 オルフェーヴル 首差2着

2012年にオルフェーヴルと彼の身体に流れていたサンデーサイレンス、そしてメジロマックイーン以下日本競馬が紡いできた血が掴みかけたその瞬間は1998年のように目前で逃げていった。たしかにあの瞬間、日本競馬は世界の、いや、世界より上の欧州競馬に手が届いていたのは間違いないのだが、あと少しのところで、またも栄光がするりと逃げていった。

恥ずかしながら、おれはその瞬間に立ち会っていない。立ち会うことができたのに、やらなかった。オルフェーヴルの惜しすぎる敗戦を、おれは池袋の雀荘で当たり牌が振り込まれるのを待っている時に知った。翌年再びオルフェーヴル、そしてキズナが世界への扉をこじ開けようとしたあの瞬間のような、馬券もなにも関係ない純粋な胸の高鳴りを牌に感じてしまっていた。

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馬は走る。国も、季節も、曜日も、朝も、昼も、夜も、天気も、関係なく走る。おれが麻雀に飽き、あの時の仲間と疎遠になった今も。馬は走る。もし、将来おれが競馬に飽きても、馬は走る。

今年は日本からダービー馬・マカヒキが挑戦する。父は10年前に同じ凱旋門賞で屈辱を味わったディープインパクト。敵地・フランスでの前哨戦は制した。今年こそ、今年こそと言われながら半世紀以上に亘って縛られてきた物語。いい加減同じようなストーリーには見飽きたころだ。凱旋門賞の呪縛に終止符を打つその瞬間を、日本競馬が欧州競馬を制するその瞬間を、おれはこの目で見届けたい。

そのときのおれの心臓は、こころは。

凱旋門賞:◎マカヒキ